日本人の遺伝子とエピゲノム

最近の遺伝学上のトピックスはエピゲノムです。これはDNAの塩基配列の働きをオンにしたりオフにしたりする仕組みのことです。

ヒトの細胞60兆個はすべて同じDNA配列(ゲノム)を持っていますが、ある細胞は心臓になりある細胞は肝臓になるわけです。
あるいは一卵性双生児は全く同じゲノムを持っていますが、外見も性格も微妙に異なるのはスイッチがオンになるタイミングや状況が異なるからです。
逆にこのスイッチをすべてリセットしてどんな細胞にでもなれるようにしたのがiPS細胞です。

従来生後に獲得した形質は遺伝しないと言われていたことが、後天的にスイッチオンになって遺伝する場合があるということがわかったわけです。
「氏より育ち」が実証されたわけで遺伝学上の画期的パラダイムシフトです。

ここで日本人の遺伝子(一石英一郎著)という本から興味深い部分を引用します。

AVPR1Aという遺伝子は、脳神経で神経伝達物質のAVP(アルギニン・バソプレシン)受容体をつくる機能を持っています。
ネズミレベルの実験では、このAVPが多かったり、受容体がよく働いたりするネズミは社交性が高く、一夫一婦制を好むことがわかっています。
逆にヒトでこのAVPR1A遺伝子の特定変異RS3334を持つ男性は、離婚を何度も繰り返したり、逆に生涯独身を貫いたりするといったように、なにかしら結婚に問題を抱えている割合が高いことがわかっています。

さらに、AVPR1A遺伝子に変異のある人は、「音楽好き」に多く見られることがわかりました。
浮気や不倫に走りやすい遺伝子を持ち合わせている人は音楽に興味があったり、才能があったりする場合が多いというのです。

また、すべての人はゲイ遺伝子を持ち合わせているが、発現しない人も多くその遺伝子のスイッチが入るかどうかで同性愛が発現するかどうかが決まる」という説もあります。
新選組は1番隊から1 0番隊までありましたが、ゲイ番隊とそうでない番隊で派閥が分かれていたという説さえあります。

ただ、豊臣秀吉だけは女色一筋で、あるとき周囲の人たちが面白がって、絶世の美男子をこっそり秀吉の部屋に忍び込ませておいたところ、秀吉は彼には目もくれず、一言「汝に姉か妹ありや」と聞いたそうです・
英雄色を好むということなんでしょうね。