乳児突然死症候群について

乳幼児突然死症候群について

<SIDSとは>
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、それまで元気だった赤ちゃんが、
主として睡眠中に突然亡くなる病気です。
日本人には少ない病気といわれていますが、出生4,000人に1人程度発症しており、
乳児死亡原因の第3位を占めています。
その多くは生後2ヶ月~半年以内に発症し、男の子にやや多い傾向がみられます。
まれに1歳を過ぎて発症することがありますが診断基準上は例外です。
また、出生児に低体重だった赤ちゃんや早産児に多いことが知られています。
この病気の原因は不明ですが、睡眠中の呼吸機能の異常(無呼吸からの回復の遅れ)、
睡眠からの覚醒の障害などが想定されており、
危険因子として母親の喫煙、母乳以外の栄養、うつぶせ寝が関係していることが知られています。

本来SIDSは独立した疾患であり、窒息とは厳密に区別されなければなりませんが、
あおむけに寝かせるキャンペーンでSIDSが減少したこと、
解剖しても窒息とSIDSを鑑別するのが困難な例が多いことなどから、SIDSと外因性の事故が混同されるケースがみられました。
ことに我が国では解剖される率が低いこともあり、
SIDS診断のあいまいさが社会問題となったため
平成17年にSIDS診断ガイドラインが策定されました。

このガイドラインでは診断に解剖が必須条件となっており、
窒息についても単なるうつぶせ状態だけでは窒息と認められないなど厳密に定義されています。
また、SIDS例では「育児の不手際があったのでは」
などと親が自責の念にかられることがしばしばみられますが、
あくまでも事故ではなく病気であることをご両親も、そして回りの方々も認識する必要があります。

<SIDSを予防するには>
確実に発症を予防する方法はありませんが、妊娠中及び出産後の喫煙をさけること、
あおむけに寝かせること、母乳で育てることはリスクを減少させます。
また、マットレスを固めのものとする、枕やクッションを使用しない、
ソファで赤ちゃんと添い寝をしない、といった方法でリスクを減らせるという報告もあります。
これらは古い報告のため窒息との異同が厳密でない可能性はありますが、
赤ちゃんの呼吸状態が悪化するのを防ぐ効果があるのは確かでしょう。
また、SIDSと思われていた症例の中には
出生時からフォローアップミルクで育てられたため
電解質バランスが乱れて急死したケースもありましたのでご注意下さい。
なお、胃食道逆流症など、嘔吐を抑えるためにうつぶせ寝が効果的な場合もあります。